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「新しい」という点で言えば、今年、皆川さんは長年使用してきたサロモンを変え、スキー板にディナスター、ブーツにラングという新しいパートナーを選びました。ケガをしたことによって、充分なテストをする時間もなかったはずですが、それでもマテリアルを一新することを決めましたね。
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「用具を変えた理由はひとつ。僕にとって良いものを使いたかったからです。ケガをしてしまったために当初予定していたテストができず、出遅れたことはたしかですが、ケガをする前から用具を再考することは考えていましたので、これは予定どおりの行動でした」。
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マテリアルを変えることに対し、多くのトップレーサーはとてもシビアにとらえ、神経質になります。マテリアルとスキーテクニックのマッチングが非常に重要である現在のレーシング事情を考えれば、今回の経緯はかなりリクスの高い決断のようにも思えましたが、決断に到るまで、葛藤したり悩んだりすることはありませんでしたか。
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「なかった、ですね。僕の言う“良いスキー板”というのは、性能だけではなく、開発の方向性であったり、チーム戦略などのソフト面も含めたトータルで判断した結果のものです。この6カ月の間、もっとしっかりとテストしてから決めたほうがいいのではないか、あるいはマテリアルを変えるのは来年以降にしたほうがいいのではないかという人もいました。けれど、僕ら選手にとっての1年というのはすごく大きいんですよ。選手を続けていられる時間はそれほど長くないし、ましてトップをめざし、さらにトップを維持できる期間はほんのわずか。だからここで1年待つなんて考えられないと思っていました。仮に僕が用具を変えて失敗したとしても現状は何も変わらないし、僕は後悔もしないと思う。逆に変えないで失敗したら、悔やんでも悔やみきれないほど後悔するでしょう。それだけは絶対に避けたかったし、次のオリンピックに向け、無駄な時間はいっさいなくしたかったので、僕自身のなかでは用具を一新することに迷いはなかったですね。それに、僕は過去の自分にはまったく興味ないんです。もちろん過去を振り返ることで勉強になることもあるけど、それに固執する考えはまったくないんですね。なぜなら今のワールドカップは、つねに前に進み続けていなければ勝ち残っていくことができない状況にあるからです。選手である以上、また勝つためにも、いまある現状をつねにより良いものに変えていきたい。今回はそのための選択でもあったわけです」。
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ディナスター&ラングを選んだポイントとなったのは、何だったのですか。
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「まず僕のしたい滑りができる可能性を感じたこと。そしてさらに自分のレベルも引き上げてくれる潜在性、将来性も感じられたことでした。テストによる情報が少ないことはたしかですが、でもどんなふうに動いてくれるのかは前からある程度、把握していましたし、数回のテストですけどそのことも確認できたので決めました」。
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具体的には、どのような点に惹かれたのですか。
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| 三井物産ロシニョール(株)土門 広氏:「サポートは万全。ぜひ夢をかなえるような選手になってほしい」 |
「ひとことで言えば、ターン弧の描き方ですね。簡単に説明すると、ショートカービングスキーが登場して以来、カービングの精度はどんどん上がってきました。外力をキャッチし、遠心力を活用しながらきちんとスキー板に乗っていけばカービングは描ける。その精度をいかに高めていくかということがポイントになってくるのですが、ここ数年の間でどのスキー板も良くなって、レーサーのレベルも上がってきたので、差がなくなってきたように思うんです。その結果、みんなが似たような滑りをするようになって、スキー板自体も特性が見えにくくなってきた。たとえば、以前はポイントが100点以上なければ30番以内なんて入れなかったのが、今では60ポイントでも30番に入れてしまうような状況が生まれたのも、みんながショートスキーを使いこなすことができるようになったことの結果だと思います。そうした混戦から抜け出るためには、何かを変えなければならない。そこで僕は、同じターン弧を描いていても勝てないと考えました。僕はマリオ・マットやイヴィツァ・コスタリッチのように身長がないから、どうしてもカービングの精度で勝負すると限界がある。サロモンはたしかにこのカービングの精度、また安定性という点ではとても優れた性能を発揮するスキー板ですが、僕が彼らに勝つためには、もっとダイレクトなライン、カーブで攻めていくアグレッシブな滑りをめざすことが必要で、この点を追求していくと、スキー板の強い切れと走りがより重要になってきます。具体的な要素としては、サイドカーブ、フレックスももちろん大切だけど、それにしっかりとした強いトーションを持ったスキー板がほしかった。それがディナスターでした。何よりも僕がめざしているものに対し、ディナスターは同じ発想を持っていたことも大きなポイントになりました。こういう滑りがしたいという意志と同じベクトルを向いている。言い換えれば、一方通行ではなく、開発する人間とスキーヤーが互いに良いものをめざした建設的なディスカッションができる。そうした環境や体制が得られることも、僕にとって大きな魅力でした」。
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『さらに自分のレベルも引き上げてくれる潜在性、将来性』というのは、どのような意味ですか。
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「前に言った開発側とのディスカッションができる環境もそうですが、スキー板自体が僕に対して要求するものがあったということです。自分の理想があって、一方でスキー板からも要求されるものがある。それをどのように活かしてやろうかと試行錯誤しながら理想を追求していくことができれば、より良いものがつくれますよね。要は今、僕が持っている感性や感覚以上のもの、あるいは今まで持っていなかったものをスキー板が持っていて、僕はそれを要求されたら応えたいと思うから、また違った滑りができる。それが純粋にうれしいし、楽しみですね」。
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今の皆川さんとディナスター、ラングの関係を表現すれば`発展性のあるアンバランス状態aというふうに言えますか。
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「そうですね。今はまだ噛み合っていないけど、そのズレは改善する余地が充分にあると感じたのはたしか。そのバランスをこれからヨーロッパで調整し、全体的なパフォーマンスを向上させていきたいですね」。
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