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トレーニングの基礎知識
解説=石毛勇介(横浜市立スポーツ医科学研究所研究員)

目次
  1. 体力とは何か
  2. スキーに必要な体力
  3. トレーニングの極意その1 (トレーニングの目的をはっきりさせる)
  4. スキーに必要な体力を高めるためには
  5. 雪上トレーニングと陸上トレーニング
  6. 陸上トレーニングを考える
  7. トレーニングの極意その2 (各体力要素別トレーニング)
  8. 全身持久力トレーニングの進め方
  9. 筋持久力トレーニングの進め方
  10. 瞬発力トレーニングの進め方
  11. ウェイトトレーニングの進め方
  12. 補強トレーニングの進め方



体力とは何か

トレーニングの種類

  体力には大きく分けて、全身持久力、筋持久力、瞬発力の3つがあります。こうした体力の各要素は、それぞれ人間の運動を遂行する能力を指し示すものです。
全身持久力とは、マラソンなどのように長時間に渡って運動をする場合に重要となる能力、つまり長時間運動を続けることのできる能力のことです。一方、筋持久力は、400m走などの全力で30秒〜2分程度運動する場合に要求される能力(大きな力を持続する能力)を意味します。さらに瞬発力は、100m走や砲丸投げなど、短時間に大きな力が要求される種目における、瞬間的に大きな力を発揮する能力を指します。
各要素を発揮されるパワーの観点から見てみると、全身持久力はローパワー、筋持久力はミドルパワー、瞬発力はハイパワーと表現されます。
また、運動の時間は、全身持久力は3分以上の比較的長い運動、筋持久力は30秒から3分程度の運動、瞬発力は30秒以下の短時間の運動です。  
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スキーに必要な体力

 スキーに必要な体力を、全身持久力、筋持久力、瞬発力という分類から考えた場合、結論として、すべての要素が必要であるといえます。その理由として、まず、全身持久力は、新たな技術を身につけるために必要な練習量をこなす場合や長距離を疲れずに滑り降りる場合に必要です。たくさん滑るためには全身持久力が必要です。 
筋持久力は、1分程度で滑り降りることのできる斜面を全力で滑った場合、最後まで疲れずに滑走するために重要な能力です。筋持久力が劣っていると、滑っている途中に急に足が重くなって動かなくなるということになります。そうした経験を持っているスキーヤーも多いでしょう。
瞬発力は、コブ斜面などでバランスを崩したときのリカバリーや滑走速度が大きくなった場合の遠心力に耐えるため、または、瞬間的なエッジングをするために必要となる能力です。瞬間的に大きな力を発揮する能力(瞬発力)がないために、滑走スピードが高くなるとスキーをコントロールできなくなって暴走してしまうということも起こります。
マラソンであれば全身持久力、100~走であれば瞬発力というように、たいていのスポーツ種目では、おもにトレーニングすべき体力の要素が存在します。しかし、アルペンスキーは、全身持久力、筋持久力、瞬発力のすべてがバランスよくトレーニングされる必要があります。アルペンスキーにおいて、科学的なトレーニングを行なう理由のひとつがここにあるわけです。そして、すべての要素を効果的に高めるためには、科学的なトレーニングが不可欠です。
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トレーニングの極意その1
(トレーニングの目的をはっきりさせる)

 先に述べたように、体力を全身持久力、筋持久力、瞬発力といった運動を遂行する能力ととらえて分類することによって、トレーニングを行なう際の目的がより明確になります。これは、トレーニングを行なう人が、体力の中のどういった要素を高める必要があるのかといったことを認識できることによります。トレーニングの目的が全身持久力であれば、全身持久力を高めるようなトレーニングが必要ですし、瞬発力を高めたいのであれば、そのためのトレーニングが必要です。具体的に体力のどの要素を高める必要があるのかということは、個人の体力レベルがどの程度の高さであるのかということや持っている体力のタイプ(全身持久力は高いが、瞬発力は低いなど)などによって異なります。この点については後で述べますが、ここでは、トレーニングを行なう際には、体力のどの要素をトレーニングするのかということを充分意識してトレーニングを行なうことが大切であるということを覚えておいてください。  

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スキーに必要な体力を高めるためには

 質の高い滑りを目指す場合に体力が必要であるのであれば、その体力を高めるには、どうすれば良いのでしょうか。
体力を高めるためにトレーニングが必要であるのは当然です。トレーニングとは、日常生活では経験しない特別なことをして、身体の活動能力、つまり、体力を高めることを指すからです。

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雪上トレーニングと陸上トレーニング

  スキーのトレーニングの場合、雪上でのトレーニングと陸上でのトレーニングが考えられます。雪上でのトレーニング、つまり、スキーをすることによって、体力を高めるということも、確かに可能です。しかし、スキーはシーズンスポーツです。オンシーズンとオフシーズンが存在します。わが国の大多数のスキーヤーにとって、一年中、雪上でトレーニングをするということは不可能です。一年中、海外などで滑走することが可能であるという恵まれた環境にある人は、非常に少ないでしょう。したがって、オフシーズンのトレーニングは、陸上トレーニングが中心になります。
これは、オフシーズンの間はスキーができないから陸上トレーニングをする、という消極的な考え方ととらえることができますが、ここでは、より積極的に体力を効率的に高めるために陸上トレーニングを行なう、という見方をしたいと思います。
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陸上トレーニングを考える

 体力を効率的に高めるために陸上トレーニングを行なうという考え方は、トレーニングを科学的にとらえることによって理解できます。トレーニングを科学的にとらえるというのは、体力を全身持久力や瞬発力といった各要素ごとに分け、その各要素ごとにトレーニングをとらえるということです。トレーニングを科学的にとらえた場合には、スキーという運動形態にとらわれずに、体力の各要素をもっとも効率的に高めるための運動形態が選択されます。例えば、脚の筋力を高めたいのであれば、スキーをして高めるよりも、ウェイトトレーニングによって、筋力を高めたほうがより効率的かつ効果的です。
このことから、オフシーズンで滑ることができないので陸上トレーニングを行なうというのではなく、雪上でのトレーニングを行なう以前に、より積極的に陸上トレーニングを行なうことの重要性が理解できると思います。
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