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 まったく新しいシステムを導入して今年3月に行なわれた第28回全日本デモンストレーター選考会。指導員の頂点に位置するデモンストレーターを選び出す新しい選考システムはどのようなものだったのでしょうか。詳細レポートはこちら

 デモンストレーター選考会と尾瀬岩鞍で行なわれたデモンストレーター強化合宿の模様を納めたビデオ・DVDはこちら


第28期 ナショナルデモンストレーター (21名) *名前をクリックすると詳細データがご覧になれます
豊野智広 竹鼻 建 伊東秀人 若月新一 志鷹慎吾 能登 恒 伊東秀朗
山田卓也 中田良子 渡辺一樹 粟野利信 松沢幸靖 里吉敏章 片山秀斗
宮下征樹 伊藤 敦 竹節一夫 佐藤久哉 宮下 透 柏木義之 我満嘉治


 2002年3月28日から31日にかけて、長野県・野沢温泉スキー場で第28回全日本デモンストレーター選考会(デモ選)が開催された。今回のデモ選を特徴づけるのは、デモンストレーターを選出する選考システムが、大幅に変更されていることだ。大きな変更点は、次の三点。


 第一点は、今まで技術選と連動する形で開催されていたデモ選を、日程、開催地なども含めて技術選から分離していること。これは、高い技術力を競う技術選と、高い指導力と指導に優れた適正を持つ者を選出するデモ選という、ふたつの大会の性格を、より明確に打ち出していくため。それにともなってデモ選への出場資格も見直され、A当該年度の技術選予選の成績において、指導員資格を有する男子60名および女子20名(この規定は、ほぼ従来を踏襲)、Bデモンストレーター、Cブロックデモンストレーター(5名×7ブロック)へと変更されている。なお、今回の開催では、デモ選に引き続く形で、全国のスキー学校の代表者が集まり、その技術力をチーム戦で競う恆S日本スキー連盟(SAJ)公認スキー学校アニバーサリーが行なわれ、デモ選が指導者のなかの指導者を選出する大会であるという側面を演出している。


 第二点は、デモンストレーターの選考システムの見直し。具体的には、今まで指導実技を中心に行なっていたデモンストレーターの選考システムを
 `実技適正審査a
 `指導適正審査a
 `理論適正審査a
の3本立てで行なうシステムに変更。それぞれの審査は、5人の審査担当によって行なわれ、個々の得点は、100点満点の採点のうち最高得点と最低得点をカットする5審3採によって決定される。これら3つの審査は、大きく"実技適正審査"と"指導および理論適正審査"に二分され、それぞれの得点配分は50対50とされている。こうした選考システムの採用のねらいは、実際に雪上で指導を行なうための指導技術の確かさに加え、全国のスキー指導者の頂点に立つデモンストレーターとしてふさわしい資質――技術理論に対する理解、指導を的確に行なえる人柄、スキー学校やスキー場経営など、スキースポーツに関わる幅広い分野での知識――を求めたためだ。


 第三点は、認定されるデモンストレーターの人数が、これまでの男子30名、女子7名から、男女併せて21名へとされたこと(男女の定数はなし)。37名から21名へデモンストレーターの人数が減らされたのは、次のような理由による。

 現在、SAJ教育本部では「改革検討委員会」を中心に、これまで行なってきた組織内部に向けた活動内容を継続しながら、スキースポーツのさらなる普及・振興を図るために、広く一般大衆に向けた活動を展開する施策を探っている。一般大衆に向けてスキースポーツの魅力を訴える活動を行なう時に、教育本部の顔となるのは、やはりデモンストレーターであり、そうした新しい活動に取り組むためには、今まで指導者の育成事業――指導者づくりと、その管理、再教育――を効率的に進めるための役割を果たしてきたデモンストレーターの任務内容も、同様に変化することになる。そうした新しい任務を確実に果たせるデモンストレーターを育成するには、一度、デモンストレーターの人数を絞り込み、少数精鋭の優れた資質を持つデモンストレーターを、新しい方向に向いた活動のために育成していくことが必要となったのだという。男女併せて21名というデモンストレーターの人数は、現在の教育本部の機構のなかで、そうした目的のための強化・育成が可能な人数として出された数値だという。こうしたデモンストレーターの任務の広がりとともに、全国7ブロックが抱えるブロック・デモンストレーターの役割などにも広がりが出ていくことになると説明されている。



 実際のデモ選では、3月29日に106名の出場選手を対象に`実技適正審査aを実施。実技適正審査の種目は、次の6種目。

  • プルークボーゲン(ひねり操作から傾け操作への展開)
  • パラレルターン・大まわり(スキッディングからカービングへの展開)
  • 大まわり・フリー(整地・急斜面)
  • 小まわり(不整地・急斜面)
  • 小まわり(整地・急斜面)
  • フリー・総合(不整地・急斜面)

 選考会前の段階では、求められる操作要領が明記されている「プルークボーゲン」と「パラレルターン・大まわり」が、いわゆる"指導種目”であり、他の4種目は技術選と同じようなフリー演技のなかで高い次元の技術の表現が求められるものと予想されていたが、開会式後のオフィシャルミーティングにおいて、これらの種目では「1級レベルの上級者に対する師範の滑り」という指示が出され、全6種目が、指導者としての指導技術を評価するという趣旨が明確ななかで行なわれる結果となった。


 実際の実技適正審査では`1級レベルaという対象が目安になったためか、操作要領が明示された展開種目以外では、スキッド&カーブを主体にする滑りが多く見られた。これには得点の出る滑りのパターンとして、各県連のコーチなどからスキッド&カーブでという指示が出ていたことの影響も考えられるが、今年の研修会テーマであったトップコントロールによるターン始動から弧をとらえる`カーブ&スキッドaの運動を打ち出してくる選手が少なかったのは、デモ選のレベルという意味では惜しまれる点であろう。




 公表された実技適正審査の上位選手は、以下のとおり。
  1位 佐藤久哉 1620点
  2位 山田卓也 1615点
      宮下征樹 1615点
  4位 渡辺一樹 1612点
      粟野利信 1612点
  6位 若月新一 1600点




 翌3月30日には、"実技適正審査"の上位60名を対象に"指導適正審査"と"理論適正審査"が行なわれた。"指導適正審査"は個人面接方式、"理論適正審査"は5名1組の集団討議方式で、それぞれ行なわれている。ここでの適正審査は、たとえばAに対してはBというように明確な答が設定される設問ではなく、「スキー界の活性化について」や「スキー指導の円滑な運営について」など、個々の考えを審査担当員が評価するというものだった。これらの設問事項は、あらかじめ公式に選手たちに伝えられていたこともあり、初めての試みという面を考慮しなくとも、充分に成果の高いものだったという。


 第28期デモンストレーターの21名は、こうした選考会を経て認定された。今回、採用された選考システムの本当の意味での成果が挙がるのは、これから2年間の任期の間に、彼らデモンストレーターが、どのような活動を行なうかにかかっている。

(2002年月刊スキージャーナル6月号より)
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