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03/04 Audi FIS AlpineSki Worldcup ファイナル・最終戦
レッド・ビブの誇り
勝者には栄光を、敗者には誇りと希望を レースが終わると、いつも多くの記者がボディ・ミラーのもとに集まってくる。彼が優勝したときはもちろんだが、そうでなくても彼にコメントをもらいたがる記者は、国を問わずに数多い。彼ならば、気軽に話ができるし、"打てば響く"
とは、たとえばこのようなことを言うのだろう、ひとつ質問しただけで、10の答が返ってくるからだ。しかも、その内容には、しばしばハッとするような新鮮な発想があり、したがって原稿を書くにあたってはネタの宝庫となる。
そんなボディ・ミラーがGSの種目別優勝を決めた日にも、彼はプレスセンターで機関銃のようにしゃべりまくった。そして03/04シーズンのワールドカップを独特の視点から興味深く分析した。これは彼の発言のごく一部だが、要約して紹介しよう。
「しかし、今年はユニーク (他に例のない、異例な、という意味)なシーズンだったよね。僕だけじゃなく皆にとってユニークだったと思う。 (ベンジャミン・) ライヒ、ヘルマン
(・マイヤー)、 (シュテファン・) エベルハルター、それに僕が総合優勝のタイトルを争ったわけだけど、たとえば過去のデータと比べてみても、あまり例のない低レベルな戦いだった。今年はいつもより、みんな300〜400点もポイントが少なかったんじゃないかな。もちろんこの4人が点を取り合い、誰も独走できなかったからだけど、それは言い換えれば、誰も独走するだけの力がなかったということだ。ライヒなんて全然スキー板が走っていなかったし、彼が本来持っている実力からすれば、どの種目をとっても、あまりたいした滑りじゃなかったと思う。エベルハルターだって、GSでほとんどポイントを取れなかったし、ヘルマンも同様に、GSでは全然パッとしなかった。それに僕は僕で、スーパーGとダウンヒルではお粗末な滑りばかり。あと、オールラウンダーとして僕が本当に怖いのは
(チェティル・アンドレ・) オーモットと (ラッセ・) チュースなんだけど、今年はふたりともケガでいなくなってしまった。そんなこんなで、今シーズンの総合優勝争いはいろいろな要素が重なって、こうなったんだと思う。もちろん、だからと言って、彼らにケチをつけるわけじゃないけど、いろいろな意味で今シーズンはユニークだったということだ。そう考えると、今年総合優勝するのは、実はとても簡単なことだったんじゃないかという気がする。だって、過去5〜6年と比べても、とても少ないポイントで大クリスタルトロフィーを取れたわけだからね」。
総合はもちろん、各種目別優勝も例年になく混戦模様になった今季のワールドカップ。最終戦に向かっては、その盛り上がりも最高潮に達していた。だが、実際にその渦中で戦うボディ・ミラー自身は、意外にも客観的、かつ冷めた目で、タイトル争いを眺めていたということが、よくわかる。まさに一刀両断。本当に低レベルだったかどうかは、ここではおくとしても、当事者だからこそ言える小気味の良い分析はとても興味深い。
さてこのように、ボディ・ミラーによって低レベル! と切り捨てられた03/04シーズンのワールドカップ。しかし、見る者にとっては、これほどスリリングな展開は過去に例がない。ボディの言うのとはまた違った意味で、ユニークなシーズンだったわけである。ヘルマン・マイヤー、ボディ・ミラー、シュテファン・エベルハルター、ベンジャミン・ライヒ。キャラクターの立ったこの4人の主役に、これまた味のある脇役
(カレ・パランダー、ライナー・シェーンフェルダーなど) が絡み、ドラマは最後まで興味が尽きなかった。もちろん、ワールドカップの登場人物は彼らだけではない。世界中から集まった、選ばれたレーサーたちが約5カ月にわたって戦いを繰り広げ、そのなかから、さらなる勝者を選び出す。それがチャンピオンスポーツの掟であるのだが、ワールドカップがいかに厳しい戦いであるかを、あらためて実感する。
勝者には栄光を。そして、敗者には誇りと希望を--03/04アルペンスキー・ワールドカップを間近に見てきた者のひとりとして、シーズンの閉幕にあたり、すべてのレーサーに感謝とともにこう言いたい。
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