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ファイナル・最終戦 男子GS種目別優勝 ボディ・ミラー(アメリカ)
霧に消えた大タイトル
深い霧の中で行なわれたGS最終戦。ゼッケン1番でスタートしたボディ・ミラーは、コースの半ばで転倒し、雪にまみれた。それほどむずかしいとも思えない緩斜面。だが、スタート直後からリズムを失い、何となく不安定な滑りだった。痛みではなく悔しさのためだったのだろう、彼は大の字に倒れたまま、しばらく起き上がろうとしなかった。このとき彼は、ふたつのタイトルが逃げていくのを感じたはずである。GSの種目別優勝と総合優勝のクリスタルトロフィー。ワールドカップレーサーならば、誰もが夢見る栄光のタイトルが、ふたつともこぼれ落ちていく……。
彼とGSの種目別優勝を激しく争っていたカレ・パランダーは1本目2位につけていた。ふたりの間の得点差は61点。仮にパランダーが2本目もその順位を守ったとしたら、タイトルはパランダーのもとに渡る。しかし運は最後の最後でボディ・ミラーを見捨てなかった。天候がしだいに悪化し、2本目の途中でついにGS最終戦のキャンセルが決定したのだ。これによって、パランダーの逆転のチャンスは消え、GSの総合優勝は、ボディの手に渡ることになったわけである。その一方で、総合優勝のタイトルは、自動的にヘルマン・マイヤーに行き、彼が今季最大の目標としていた大クリスタルトロフィーを手にすることはできなくなった。何とも皮肉な、そしてあっけない幕切れであった。
当初、「レース中止でタイトル獲得というのは、少しむなしい気がする。まして僕は転倒していたわけだし」 と当惑の気持ちを隠さなかった。だが、彼にとってワールドカップでは初のタイトル獲得である。うれしくないわけがない。やがて、気を取り直した彼は、
「やるべきことはすべてやった。その結果のタイトル獲得だ。僕はチャンピオンの名に値すると思う」 と喜びを語った。今年も全レース出場という無謀とも思えるチャレンジを続けたボディ・ミラー。総合優勝という夢は来季以降に持ち越したが、その独特な存在感がワールドカップのなかでますます大きなものになったことは、まぎれもない事実である。 |