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アルペンサイトTOP 02-03 Alpine W-CUP 取材レポート
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【2004年SJ6月号】
ファイナル・最終戦 「レッド・ビブの誇り」
男子総合&SG種目別優勝
女子総合&GS・SL種目別優勝
男子GS種目別優勝
男子DH種目別優勝
男子SL種目別優勝
女子DH&SG種目別優勝
〔SJマンスリーウォッチ 13〕
佐々木明

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2004年SJ5月号

ファイナル・最終戦
女子総合&GS・スラローム種目別優勝 アニャ・パーソン(スウェーデン)

北限のチャンピオン

滑ること自体が楽しい。
これほど早い王座復帰は想像もしていなかった

アニャ・パーソン 現在の女子ワールドカップの2強、ヤニツァ・コスタリッチ (クロアチア) とアニャ・パーソン (スウェーデン) は、ともに早熟の選手である。コスタリッチは、17歳でワールドカップ初優勝を達成し、パーソンも17歳のときに初めての優勝を記録した。年齢こそひとつ違うが、同年代。同じ技術系種目を得意とするライバルとして、ふたりは互いに刺激を受け合いながら戦ってきた。しかしこの冬、コスタリッチはワールドカップのピステに現われなかった。膝の負傷と甲状腺の疾病のために、レース出場を諦めざるを得なかったからである。03/04シーズンの女子ワールドカップは、前年度の総合チャンピオンが不在のまま進行することになった。

 そんな、いささか寂しい展開の女子ワールドカップをリードしたのが、パーソンである。彼女は開幕からすさまじい勢いで勝ち続けた。スラロームでは10レース中、4連勝を含む6勝を記録し、GSでは8レース中5勝。こちらでも4連勝を記録している。その結果、スラローム、GSともに圧倒的な大差をつけて種目別優勝。とくにGSでは、2位のデニーゼ・カーボン (イタリア) の343点に対し、パーソンは660点と、ほとんどダブルスコアの得点差でぶっちぎっている。

 だがその一方で、総合優勝のタイトルは、レナーテ・ゲッチェル (オーストリア) と最後まで激しい争いとなった。技術系種目におけるパーソンと同様、高速系種目はゲッチェルがほぼ完全に制圧し、大量得点を積み重ねたからである。そんなふたりの一騎討ちに彼女が勝ったのは、これまでほとんど手を出していなかった高速系種目にも果敢に取り組んだことが最大の要因と言える。とくにスーパーGでは7レースでポイントを獲得。いずれも下位入賞ながら、着実に得点を重ねた。結局、終わってみればこの種目でも144点を獲得し、さらにダウンヒルでも2レースで17点を上積みして、ゲッチェルを突き放した。
「長いシーズンでしたけど、最後に一番大きなトロフィー (総合優勝) をもらうことができて本当にうれしい。ただ、シーズンの終盤には体力的にきつくなってきたのが課題かな。今日、表彰式でヘルマン・マイヤーにそのことを話したら、『来シーズンは、もっと体力をつけないとだめだね』 と言われました」 と笑う。

アニャ・パーソン しかし、シーズンを通して、高いレベルをキープしたその戦いぶりは総合チャンピオンの名にふさわしいものであった。コスタリッチやカレン・プッツァー (イタリア) の不在、さらにはニコレ・ホスプ (オーストリア) もシーズン半ばで戦線離脱するなど、ライバルたちが次々とアクシデントに見舞われたことは無視できない要素ではある。だが、それらを差し引いても、今季のパーソンのパフォーマンスはすばらしかった。シーズン後半には、勝って当たり前というある種の風格さえ漂わせていた。彼女自身はこうした心身の成長について、こう語っている。
「技術的には、シーズンを通して満足のいく滑りができたと思う。とくにGSではだいぶ自信がついてきました。これは昨シーズン、GSの種目別チャンピオンとなったことが影響していると思います。また精神的に以前よりも余裕を持てるようになりました。一所懸命に努力して良い結果が出ればいいし、だめならだめでそれを受け入れることもできるようになりました」。

 彼女は、レーサーとしてのタイプが似ているせいもあり、かつてのワールドカップ女王、同じスウェーデンのペルニラ・ヴィベルクと比較されることが多い。今季の11勝を加え、パーソンの通算勝利数は22。尊敬する先輩の記録まであとふたつに迫った。また、今はヴィベルクと同じモナコに住むパーソンだが、生まれ育ったのは、スウェーデン北部のターナビー。あのインゲマル・ステンマルクと同じ町である。ターナビーは、人間が生活を営むほとんど北限に位置する町。したがって、アニャ・パーソンはアルペン史上、もっとも北からやってきた女王ということになる。パーソンの活躍について、ステンマルクは、
「同じターナビーの人間として、アニャの活躍を誇りに思う。シーズン序盤はGSで少し迷いがあったようだが、滑りを工夫することで、これをすばやく克服した。彼女の強さはそんな頭の良さと、何よりも精神的な強さによるものだろう」と評価する。北限のチャンピオン、アニャ・パーソンは現在23歳。今季すでにチャレンジを開始したことからもわかるように、彼女には、オールラウンダーに転身する計画があるようだ。今の技術系での強さを保ちつつ、高速系での滑りを洗練させていくことができたら、また一段高いレベルのチャンピオンが誕生するはずである。ワールドカップ86勝という大記録を持つ偉大な先輩ステンマルクに、はたしてどこまで近づくことができるだろうか。
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