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アルペンサイトTOP 02-03 Alpine W-CUP 取材レポート
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【2004年SJ5月号】
終盤戦 「勝利の女神 はどこにいる?」
男子GS第6戦
男子SL第8戦
男子DH第10戦
男子SL第9戦
男子GS第7戦
男子SL第10戦
〔SJマンスリーウォッチ 12〕
佐々木明

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終盤戦
男子ジャイアントスラローム第7戦 02/28 Kranjska Gora(SLO)

B・ミラー今季6勝目。
総合優勝の可能性を引き寄せる重要な勝利

B・ミラー 今シーズンのクラニスカ・ゴラのワールドカップは、例年に比べると少し変則的なスケジュールだった。いつもの年ならば、クラニスカ・ゴラの大会は、クリスマスの直前か、1月の年明け早々に行なわれるのが常だったからだ。たとえば昨シーズンは1月初めに、そしてその前の年は12月末に、ワールドカップを迎えている。いずれにしても、シーズンのまだ前半。北斜面に開かれたワールドカップコース "ポドコレン2" には、ほとんど陽が当たらない。冬の低い太陽は山の端に隠れ、その陽射しはコースにまでは届かないのだ。

 ところが、なぜか今シーズンは2月の最終週の開催である。さすがにこの頃になると太陽の位置も高くなり、レースは明るい光に包まれた。あいにく、空は雲に覆われていたが、それでも寒く暗い、いつもの雰囲気とはかなり異なる空気がレースを支配していた。

 そんな春のクラニスカ・ゴラは、レースの結果も少し意外なものになった。GSとスラロームともに、表彰台の上には常連たちの顔が少なく、かわりに、初顔や、久々に見る懐かしい顔が並んだのだ。

 初日のGSを盛り上げたのは、今季絶好調のイタリアチームの選手たちだ。ただし、エースのマッシミリアーノ・ブラルドーネは1本目で早々と途中棄権し、アルタ・バディア2連戦で優勝と2位を記録したダヴィデ・シモンチェリは19位に沈んだ。彼ら中心選手たちが、失敗しても他の選手が、その穴を充分に埋めることができるのが、今のイタリアチームである。ヘッドコーチのフラヴィオ・ロッダと、チーフコーチ、セヴェリーノ・ボッテーロが作り上げたGSチームは、今やオーストリアにも劣らない戦力を揃えている。この日のGSは、来年のボルミオ世界選手権、そして2006年のトリノオリンピックに向けて、開催国イタリアの強化がきわめて順調に進んでいることを証明するレースとなった。2位にアルベルト・シェパッティ、3位アレクサンダー・プロナー。いずれもワールドカップではほとんど無名の選手が、表彰台の左右に立ったのである。

 シェパッティは佐々木明と同じ81年生まれの23歳。昨年のクラニスカ・ゴラでは27位に入賞し、これまでの最高位は15位。だが、今季はアルタ・バディア2連戦で16位と8位、さらにフラッハウでも12位に入賞し、種目別ポイントで12位にランキングされている。そうした、上昇機運から考えれば、この日の2位という成績も、それほど驚くには当たらないのかもしれない。一方のプロナーは26歳で、ワールドカップは4年目の中堅選手。これまでの最高位は12位だが、今季はフラッハウで同じく12位に入ったのが唯一の成績という目立たない存在だった。アデルボーデンの記者会見でブラルドーネが語ったように、今のイタリアチームは、チーム内での競争が非常に激しく、ひとりが好成績をあげると、それに引きずられるように何人もが、これまで以上の力を発揮。そしてそれが、選手たちに自信を与え、また別の選手が発奮するという相乗効果を生んでいる。この日の記者会見でも、イタリアチームの強さに質問が集中したが、ふたりの答は、ブラルドーネとほぼ同じ。その自信にあふれた表情を見る限り、彼らのチームが、今非常にうまく動いていることはまちがいないようだ。

アルベルト・シェパッティ だが、そんなイタリア勢の猛チャージを退け優勝したのは、サンアントンの2レースで息を吹き返し、ふたたび上昇気流に乗るボディ・ミラーだった。ミラーは、1本目でトップに立つと、2本目も貫禄の滑りで逃げ切った。シェパッティとのタイム差は0秒25。しかし、実力的には、その数字以上のはっきりした差のあることを感じさせる堂々たる優勝だった。
「今日は、本当に勝ちたいレースだった。コースはむずかしい状況だったが、うまくいった。勝ちたいと思うと、リスクを冒しすぎるのだが、今日は、滑りと気持ちのバランスがうまくとれたと思う」。

 この勝利で彼が100点のワールドカップポイントを稼いだことで、タイトル争いはますま混迷の度合いを深めた。GSでは、この日、1本目で途中棄権したカレ・パランダーから首位の座を奪還、さらに総合でも、ヘルマン・マイヤーとの差を逆転して久々にトップに立った。しかし、その差はわずか8点。数字上ではたしかに8点の差であるが、ほんのわずかな順位の上下で簡単にひっくり返り、現時点ではほとんど意味を持たないような差である。さらにこの日は28位でわずか3点の加算に終わったものの、ベンジャミン・ライヒも、たった1レースで逆転可能な位置につけている。

 一方この大混戦についてヘルマンは、
「最後の最後までわからなくなってきた。残りのレース数が少ないので、ひとつひとつのレースが非常に大事だ」 と語る。GSではかつての強さが影を潜めたヘルマンだが、しぶとく粘って12位。獲得した22点のポイントの価値は今ははっきりとはしないが、最後の最後で大きな意味を持つことになるかもしれない。

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