≪TOPに戻る
他のレポートはこちらから |
序盤戦イタリアシリーズ 〔SJ MONTHLY WATCH 5〕 カレ・パランダー
5年目の甘い果実
どんなにこっぴどくやられても、挑戦をやめることはなかった
アルタ・バディアで行なわれた男子GS第3戦で優勝したカレ・パランダーは、
「長い間、スラロームよりもGSのほうが男の種目だ、と言われ続けてきたから、この優勝はとてもうれしいよ」と喜びを語った。 「どういう意味かって? アルベルト・トンバに聞けばわかるんじゃないかな?」。
残念ながらそこにトンバはいなかったし、スラロームとGSで男らしさが違うかどうかについてはむずかしい問題だ。しかし、昨シーズンのSLチャンピオン、カレ・パランダーが、スラロームだけの勝利では満足していなかったのは、確かである。
99年2月、ほとんど無名の存在の頃、ヴェイル世界選手権のスラロームで彼はいきなり優勝した。それ以来、パランダーはスラローマーとして認知されてきた。その後、深刻なスランプに陥り、スラロームよりもGSの成績のほうがよかったときにも、彼はスラロームの選手だと思われてきた。だが、彼はいつでもGSへの強い意欲を持ち続けた。
「この5年間、スラロームと同じくらいの時間とエネルギーをGSのために費やしてきた。うちのチームには、世界でもっとも優れたGSテクニックを持つサミ・ウォティラがいる。彼とつねに練習しているのだから、うまくならなければ馬鹿だと言われたこともあるくらいだ」。
それでも、パランダーのGSはなかなかうまくならなかった。いやうまくはなったのかもしれないが、結果が出なかった。スタート順が遅いせいもあったが、昨シーズンは開幕から4レース連続して予選落ち。だが、どんなにこっぴどくやられても、挑戦をやめることはなかった。サンモリッツ世界選手権とワールドカップ最終戦での6位入賞は、そんなしつこいまでの意欲がつかみとった成功の果実である。
そして今季。開幕戦11位、第2戦6位。これで第1シードに入り、その最初のレースとなった第3戦でついに初優勝に到達した。 「年に1度か2度、不思議な感覚にとらわれることがある。どんなにコースが荒れていようとも、身体のほうが勝手に反応して何の問題もなく滑れてしまうんだ」。
そのめったに感じることのできない不思議な感覚が、この日の彼に降臨する。気温が高いうえに30番スタート。2本目のコースはあちこちが割れた状態だった。しかし、パランダーの滑りはまったく乱れない。2位に食い下がるダヴィデ・シモンチェリとの差を逆に広げてゴール。5年間におよぶ水面下の努力は不毛ではなかったのだ。ついに念願を果たした
"男らしい男" は、タイムを確認するや感極まった表情で、腹の底から声を絞り出し、2度大きく吼えた。 |