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序盤戦イタリアシリーズ 〔SJ MONTHLY WATCH 4〕 ヘルマン・マイヤー
混戦の主役
触れれば火傷をしそうな、熱い気が今なお満ちている
多くの人は、今季のヘルマン・マイヤーに、果たしてどれほどの期待をかけていいのかを、図りかねているのではないだろうか。秋、膝の調子が思わしくなく、開幕戦の出場が危ぶまれるという情報が流れたときは、あまり多くは望んではいけないのだ、と自らの楽観を戒めただろうし、北米シリーズで立て続けに2勝を挙げたときには、一転、無慈悲なまでの強さを誇った全盛時の姿を、彼に求めてしまう。ファン心理のインジケーターは、不安と期待の間を大きく揺れ動き、その振幅が大きくなるたびに、ヘルマン・マイヤーへの思いが募っていくのではないか。
実際のところ、現在の彼の調子がどれほどのものなのか。それは本人とごく近しいスタッフにしかわからないだろう。だが、それはそれとして、ヘルマン・マイヤーはワールドカップの総合優勝を争う好位置につけている。"ハーミネーター"の鎧を脱ぎ捨て、バスタブの湯に深く身を沈めたとき、あるいは痛みに耐える苦悶の表情を浮かべているかもしれない。しかし、少なくともファンの視線の届く場においては、彼の身体から王者のみが持ち得るオーラが力強く立ちのぼるのである。
ヴァル・ガルディナのスーパーGで3位となったとき、彼はこう言っている。硬くバンピーなコースは、あなたの膝にどのように影響するのか? という質問に対する答だ。
「今日は、1カ所だけ問題となる場所があった。難関だったけど、リスクは冒さないように通過した」。 続けて、翌日のダウンヒルに向けての戦略については
「スタート前には、もちろんナーバスになるだろう。だけど、極力リラックスするよ。とくにジャンプではがんばりすぎず、気楽に楽しむつもりだ」 と語っている。
推測すれば、コンディションは決して万全ではない、しかし、気持ちのほうは勝利以外のものを望んではいない、ということだろう。 写真は、ヴァル・ガルディナのダウンヒルコースをインスペクションするヘルマン・マイヤーである。ボディ・ミラーはわずか10分で下見をすませ、愛用のモーターホームの中へ消えていったというのに、90分の規定時間のうち70分を費やして、彼はまだ全体の半分も降りていない。傲慢なほどにマイペースなヘルマン・マイヤーのインスペクションは、以前とまったく変わっていない。
「ケガを経験して、ヘルマンは大人になった」。以前よりも丸みを増した彼の印象について、誰もがこういう。しかし、それはあくまでコースの外での話だ。戦いの場に身をおくときのヘルマン・マイヤーには、触れれば火傷をしそうな、熱い気が今なお満ちている。
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