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アルペンサイトTOP 02-03 Alpine W-CUP 取材レポート
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【2004年SJ2月号】
アメリカズ・オープニング 「白いサーカス、北米に上陸」
男子GS第2戦
男子SL第1戦
〔SJマンスリーウォッチ 2〕
佐々木明
〔SJマンスリーウォッチ 3〕
ボディ・ミラー
〔コラム 1〕
「スラローマーたちのGS」
〔コラム 2〕
「R・シェーンフェルダーの再レース騒動」

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2004年SJ4月号
2004年SJ5月号
2004年SJ6月号

03/04 Audi FIS AlpineSki Worldcup アメリカズ・オープニング
白いサーカス、北米に上陸

 10月オーストリア・ゾルデンの開幕戦から北米へと舞台を移したアルペンスキー・ワールドカップ。この北米シリーズには、スラローマーやダウンヒラーにとっての開幕戦も含まれ、本格的なシーズンインを告げるとともに、今季の展望を占う重要な位置づけを持っている。誰がスタートダッシュに成功したのか。日本期待の佐々木明は、どのようにSL開幕戦を戦ったのか。


男子ジャイアント・スラローム第2戦 11/22 PARK CITY(USA)

オーストリアの逆襲、シロピの悲劇、
そしてボディの大逆転

 標高差370mと男子のGSコースとしては、標準的なスケールのパークシティ。見た目では、それほどむずかしさを感じないが、実際には細かい地形の変化やねじれが、思いがけない波乱を演出するやっかいなコースである。スタート直後は緩斜面なので圧迫感はない。ただし、まるで次々と押し寄せる波のようなうねりが続き、ここでスキー板を走らせることは意外にむずかしく、予想外のタイム差がつくこともある隠れた難所である。続く急斜面はこのコースのハイライトだ。テラス状の緩斜面から一気に落ち込んでいるので、スキー板の方向性が重要だ。その後は急・中・緩斜面が適度に組み合わされる。ポールセットにもよるだろうが、スピードの上がる部分だ。そして後半は、比較的フラットな緩斜面。ここは高速のなかでのカービングテクニックを競う区間だが、上からのスピードがなければもはや勝ち目がない。

 ボディ・ミラーはこのコースのむずかしさを、次のように語っている。
「このコースはいろいろな意味でレーサーにとって脅威だ。最初の緩斜面でスピードに乗れないと、その先苦労することになる。ほとんどまっすぐ滑るだけだが、意外にむずかしい。次の急斜面のポイントは、その前の緩斜面でいかにスキー板をコントロールするかということ。あまりに積極的にいくと、スピードが出すぎて、急斜面に入ってからのラインどりがむずかしくなる。僕はここを直線的にねらうが、そのかわりスピードは少し抑える。そうすれば移動距離は短く、しかも余裕を持って急斜面に入れるからだ。中間のフラット部分は楽だと思いがちだが、実際滑ってみるとフラットではなく、中斜面でかなり急だ。だからここでもスピードのコントロールが重要になってくる。コースの読みが必要という点で僕は他の国の選手よりも大きく優位に立っていると思うよ」。

 ふだんは、驚くほどあっさりとインスペクションをすませるボディ・ミラー。そのスピードの速さは、佐々木明のインスペクションと双璧だが、この日はいつになくていねいにポールとラインを読んでいた (とはいっても、急斜面入口に限っての話だが)。驚いたことに、ボディはいったん急斜面に入ってコーチと言葉をかわしたあと、ふたたび上の緩斜面まで歩いて上り、進入角度を確認していたのである。ここパークシティはUSチームのトレーニング本拠地。すでに何千回と滑っているはずだが、このとき見せたボディの慎重さは、このレースにかける彼の意気込みを表わしているように感じられた。

 さて、レースは予想通りボディ・ミラーを中心に進んだ。ただし、1本目のベストタイムを奪ったのはハンス・クナウスだった。とくに後半の緩斜面でスピードに乗り、ボディよりも0秒11上まわるタイムを記録。ボディはゴール直前で強い向かい風にあおられ、旗門が大きく山側に揺れたために、大まわりのラインをとらざるを得ず、これがクナウスとのタイム差につながった。3位にはカレ・パランダーがつけ、4位には何とヘルマン・マイヤーが続く。1カ月前のゾルデンでは、まだ好調とはほど遠く、どことなく弱々しささえ感じさせていたヘルマンだが、この日は見違えるように、滑りが切れていた。オートバイ事故からの復帰途上にある彼にとって、GSはもっともハードな種目である。比較的高速でスキー板をカービングさせ、深い弧を描くGSは、ダウンヒルやスーパーG以上に膝にかかる負担が大きい。したがって回復の程度ももっとも遅れていたのがGSなのだが、そのGSでここまで調子を戻してきたということは、ヘルマンの完全復活が近づいていることの明るい兆しとも考えられるだろう。

 反対に膝に重傷を負い、今季の残りを棒に振ることなったのが、地元の英雄エリック・シロピ。彼は急斜面を滑り降りた直後、激しく転倒し、宙に舞った。緩斜面の入口の右ターンにシロピはやや後傾ぎみに進入。左スキーがいったんアウト側に流れた直後、急激にグリップを回復したために、反動で下半身が跳ね上げられた。あるいは雪面の溝にスキー板がはまったせいなのか、いずれにしても巨大な力が彼の左膝にかかり、前十字靭帯を引きちぎった。パークシティをヘッドスポンサーに持ち、昨シーズンはここで5位に入っているシロピだが、詰めかけたファンの前にスノーボートに乗って運ばれるという悲運であった。

 2本目は、ボディ・ミラーの逆転ショーだった。本人は限界のぎりぎり手前のところで勝負したというが、観客にとってはスペクタクルの連続だった。
「エリックのことがあったから、スタートから何があってもアタックしていった。でもかえってそれがよかったのかもしれない。途中コースが荒れていてでこぼこな部分があり、しかも視界はまったく見えないという、びびるような状況だったからね。実際には見えているんだけど、雪面の状況がはっきりとは見えないんだ。こういうフラットライトな条件では、相当強い意志を持っていないとアグレッシブさを保つのはむずかしいんだ」。

 ボディに捨て身のアタックを決意させたのも、また危機的にアンバランスな状態から彼をリカバリーさせたのも、シロピの力かもしれない。いかにも彼らしいスリリングな魅力の詰まった2本目は無事ゴールまでたどりつき、この時点で彼の優勝は事実上決定した。

 オーストリアは、ゾルデンの惨敗の後、相当トレーニングに気合が入ったようだ。クナウスは3位に落ちたが、代わりに8位からアンドレアス・シーフェラーが2位に上がった。
「今考えれば、ゾルデンでわれわれは負けてよかったのかもしれない。あの後の練習は、本当に気合が入ったからね。おかげで僕はチームのタイムトライアルで、このところいつもビリだ」。クナウスはこう言って周囲を笑わせた。そして、次の目標は? という質問に対しては、
「チーム内の予選に通ってレイクルイーズのワールドカップに出場すること」 と少し真顔で答えた。
 一方のシーフェラーは、
「開幕前にはいろいろな不安があったが、今は少しずつ自信が持てるようになった。大切なのはひとつひとつのレースに集中すること。先のことを考えて自分にプレッシャーを与えないようにしたい」 と淡々と語る。ふたりとも、レースやトレーニングで何度も重傷を負い、そのたびに這い上がってきた。ヘルマン・マイヤーのカムバックほど劇的ではないかもしれないが、こういう苦労人が数多くいるというのも、オーストリアが最強である理由のひとつである。

 後方スタートから上位に食い込んだ筆頭は、地元アメリカの中堅、ダン・スペンサーだ。40番のゼッケンをつけ13位に入賞。トレーニングのときから、チーム内トップ (ボディー・ミラーは除く) のタイムをマークしていたが、レースでも引き続き好調な滑りを見せ健闘した。そのスペンサーに合同タイムトライアルでコンマ差につけていた佐々木明は、スタート時間に遅れたために出走できず。今季はGSでも入賞をねらう彼にとって貴重なチャンスを活かすことができなかった。

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