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アメリカズ・オープニング 〔COLUMN 1〕 スラローマーたちのGS
スラロームは、ふたたびGSに近づいてきた
昨シーズンあたりから目立ってきた傾向として、スラローマーのジャイアント・スラロームへの進出が挙げられる。一般的に言って、アルペン4種目のなかで、もっともスペシャリスト化が進んでいるのがスラローム。便宜上、ジャイアント・スラローム
(GS) とともに"技術系"に分類されるスラロームだが、種目の特性としては、長い間独自の進化 (または深化) の道を歩み、その結果として、この種目だけに専念するスペシャリストを多く生んできた。
一方で、GSはスラロームよりもスーパーGとの接点を求めた。オーストリアはチームを編成するにあたって、高速系・技術系という概念を取り去り、GS&SGチームを組織することで、強化に成功した。ヘルマン・マイヤー、シュテファン・エベルハルターといったチャンピオンたちは、みなGS&SGチームの所属である。もちろん彼らの多くはダウンヒルへの適性にも高いものがあり、実質的には3種目をこなす"準オールラウンダー"と言っていい。その結果、スラロームだけが取り残され、独自性を強める傾向にあった。若い頃は、GSとスラロームの両方をこなしていた選手が、年齢が上がるにつれてスラローム1本に絞るようになった。たとえば、オレ・クリスチャン・フルセットやユーレ・コシールといった選手はその典型的な例だし、日本チームにもこのパターンを歩む選手が多かった。
ところが、そうした傾向にも少しずつ歯止めがかかり、現在では、針はふたたび逆にふれ始めたようだ。スラロームという種目が、テクニカルな方向へは行き着くところまで行ったので、今度はGSが持つスピードという方向へ行き先を変えたのである。これに伴い今までスラロームに専念していたスペシャリストたちが、積極的にGSに取り組むようになった。技術的な検証は、ここでは置くとして、現象面から見てもこの流れはしだいにはっきりとし始めている。
ワールドカップのスラローム・チャンピオン、カレ・パランダーは、昨シーズンのGS第1戦 (ゾルデン) にゼッケン61番をつけて出場。このときは誰にも注目されず1本目で45位という平凡な成績に終わっているが、その後も積極的にチャレンジを続けた結果、シーズン後半には、成績も急上昇。サンモリッツ世界選手権では6位、ワールドカップのGS最終戦でも6位に入賞というめざましい結果につなげている。
また彼とスラロームのタイトルを激しく争ったイヴィツァ・コスタリッチも、GSではほぼ同様の道を歩んでいる。今季のGS開幕戦ではパランダーが17番スタートで11位、コスタリッチは18番スタートで12位と、拮抗した戦いを展開しているのが興味深い。さらにパークシティの2レースを見てみると、スラロームの第1シード15人のうち、実に11人がGSにも出場している。
日本チームでは、佐々木明が昨年からGSに積極的に取り組み、成果を挙げつつある。ヘッドコーチのゲオルグ・ヘルリゲルは、 「スラロームのスピードが上がり、ターンの質がGSに近づいている。高い次元のスピードを経験することで、スラロームにも効果がある。また、レースに対してつねに新鮮なモティベーションを持つためにも2種目以上で戦うことが重要だ」
とその効果を説明している。 |