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02-03 Alpine W-CUP 取材レポート
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【2004年SJ2月号】
アメリカズ・オープニング 「白いサーカス、北米に上陸」
男子GS第2戦
男子SL第1戦
〔SJマンスリーウォッチ 2〕
佐々木明
〔SJマンスリーウォッチ 3〕
ボディ・ミラー
〔コラム 1〕
「スラローマーたちのGS」
〔コラム 2〕
「R・シェーンフェルダーの再レース騒動」

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2004年SJ1月号
2004年SJ3月号
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2004年SJ5月号
2004年SJ6月号

アメリカズ・オープニング
男子スラローム第1戦 11/23 PARK CITY(USA)

K・パランダー好発進。
むずかしい条件で光る繊細なタッチ

 昨シーズンは、雪の状態が悪く、GSコースの下半分を使って行なわれたパークシティのスラローム。今季は気象条件にも恵まれ、レースは正規のコースで開催することができた。標高差は197m。スタート直後に短い緩斜面があり、やがて長い急斜面に飛び込む。ここは約200mの1枚バーン。その後右からGSコースが合流すると、左に緩やかに曲がりながら緩斜面がゴールまで続く。男子のスラロームコースとしては、コンパクトな部類。地形の変化にやっかいな癖はなく、技術的な難易度はそれほど高くない。ただし、前半の急斜面と後半の緩斜面とでは、雪の質がかなり異なり、それがスキー操作に微妙な影響を与えそうなコースではある。

 GSコースの前半部に、スタート前の練習用にアップバーンが設けられたが、この日のポールセットは、なぜかあまりいいリズムではなく、多くの選手がとまどっていた。次々と降りてくる選手のほとんどが、途中でコースを外れ、いまいましそうな叫び声をあげる。昨シーズンのスラローム・チャンピオンで優勝候補筆頭のカレ・パランダーは3本滑って3本ともコースアウト。また同じく優勝候補のイヴィツァ・コスタリッチも、セットが気に入らず、途中で抜けていった。そんな様子を見ていると、レースは何となく荒れそうな予感もしたのだが、しかしいざ競技が始まると、上位のランキングは、現在の力関係をほぼ正確に反映したものとなり、その意味では落ち着いたレース展開だった。

 1本目のベスト・ラップは同タイムでふたりが記録した。昨年度の種目別チャンピオンのカレ・パランダーと、昨年のパークシティの覇者、ライナー・シェーンフェルダーである。ただし、シェーンフェルダーのタイムはインターフェアによるリ・ラン (再レース) でマークしたもので、彼のリ・ランをめぐって、この後レースは大きく揺さぶられることになる。

 意外だったのは、コース半ばで旗門をまたぎ、あっさりと消えていったイヴィツァ・コスタリッチ。彼は3日前にウィンターパークで行なわれたノースアメリカンカップのSLレースで優勝し、調子は悪くないと見られていたのだが、タイトル奪還をめざす彼にとって、0ポイントは大きな痛手となりそうだ。

 対照的に、パランダーは昨シーズンの好調時をさらに上まわる充実ぶりを見せつけた。
「1本目のポールセットは、この雪質に対して直線的すぎてあまり快適ではなかった」 と言うが、非常に繊細なタッチで雪面とコンタクトする柔らかな滑りは、他の選手とは次元の違いさえ感じさせた。前日のGSで5位となったことでもわかるように、今季の彼は非常に高いレベルで戦っている。この調子が続く限り、今季もスラロームのチャンピオン候補ナンバー1と言うべきだろう。

 前日のGSを圧倒的な強さで制し、この日のスラロームが注目されたボディ・ミラーは、相変わらずの過激な滑りだった。何度かハラハラさせながら急斜面を無事通過したものの、緩斜面に入ってスキー板をコントロールしきれずにコースアウト。ゴールまであと数旗門というなんとももったいない途中棄権だった。昨シーズンの彼は、スラローム9レース中5レースで失敗。本来得意だったはずのスラロームが、逆に総合優勝争いの足を引っ張る形となった。この日の滑りを見る限り、今季もそんな不安定さは完全には払拭されていないようだ。

 佐々木明は17番目のスタートだった。今季の彼は、ポールへの突っ込みがさらに激しくなったせいか、ストックを折る回数が飛躍的に増えた。トレーニングでは毎日のようにストックが破損し、大会前日、急遽、日本から大量のストックを取り寄せたほどである。これはポールと当たる部分のシャフトを軽量化しつつ強化したもので、佐々木用のスペシャルモデル。またレーシング・ワンピースは、フェニックス社とユナイテッドアローズ・グリーンレーベルリラクシングのコラボレートによってデザインされたもの。さらに今季からヘッドスポンサーにスポーツ・アルペンがつくなど、周囲のバックアップ体制も整った。佐々木は、パークシティに来てからは連日絶好調で、各国コーチの間の評価も急上昇。いったいどんな滑りを見せるのかという注目のなか、彼はそのポテンシャルの高さを見せつけた。急斜面の入り口でダイレクトに突っ込み、大きくラインがあふれる痛恨のミス。しかし、その後すばやくコースに戻った彼は、中盤以降驚異的な追い上げを見せた。あれだけのミスを犯しながらタイム差は1秒65しかつかず11位。2本目しだいではさらに上位がねらえる位置につけた。

 2本目は、シェーンフェルダーのリ・ランをめぐる裁定のために、定刻よりも15分遅れでスタート。選手たちの証言によれば、雪質への対応がむずかしいレースとなったようだ。3位表彰台を確保した (シェーンフェルダーの復活によって最終的には4位に下がった) ジョルジョ・ロッカは、
「やっかいな雪質だった。グリップするところとエッジが流されるところが混じっており、その判断がむずかしかった。非常に繊細なタッチが要求されるタフなレースだった」 と語った。スラロームコースは、数日前までに下地を作った後は、スキーヤーを入れていなかった。そして、レース前日にあらためて仕上げを行なったために、雪質が均一にならず、場所によってグリップ力にばらつきが出たのではないか。そして、こういう繊細なタッチという点では、現時点でパランダーにかなう選手は見当たらない。2本目30番スタートとなるパランダーは、コースの荒れた部分では、意識的にラインを変えたり、エッジングの強さを微妙に調整するなど、セーフティファーストの滑りで、このむずかしい雪質に対応した。次に滑ったシェーンフェルダーに100分の2秒差に詰め寄られたものの、その数字以上の余力を残して、今季初勝利に輝いた。
「前年度のチャンピオンとしてシーズンの開幕を迎えたのは初めての経験だが、誰もが僕に注目しているのを感じ、むずかしい立場だ」 とパランダーは語る。このオフシーズンには、GSとスラロームを均等の割合でトレーニングしてきた。
「GSは4種目のなかでもっともテクニカルで、もっとも繊細な種目だ。僕はこの10年間、サミ・ウォッティラとともに練習してきた。彼は現在世界でもっともすぐれたGSスキーヤーだと思うから、サミから学んだことは多い。そしてそれがスラロームに役立っているかと聞かれれば、答はイエスだ」。

 100分の2秒差で2位となったシェーンフェルダーに、笑顔はほとんどなかった。裁定が出るまでに1時間以上。その間ずうっと不安定な心理状態で待たなければならなかったからだ。やがて、FISの役員から再レースの無効が告げられると、彼は一瞬下を向き唇を噛んで表情を曇らせた。この決定は後に覆ることになるのだが、上位のランキングが単純なタイムではなく、審判団の裁定によって決まるという点で、後味の良くないレースだった。

 上位進出が期待された佐々木は、後半の緩斜面でスピードに乗れず12位に後退。ゴールエリアで見せた悔しそうな表情が次につながることを期待したい。

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