SKI CHANNEL HEADER
SKI CHANNEL
02-03 Alpine W-CUP 取材レポート
 ≪TOPに戻る
【2004年SJ1月号】
開幕戦 「冷たく、熱く燃えた氷河の戦い」
女子GS第1戦
男子GS第1戦
〔SJマンスリーウォッチ 1〕
佐々木明

 他のレポートはこちらから
2004年SJ2月号
2004年SJ3月号
2004年SJ4月号
2004年SJ5月号
2004年SJ6月号

開幕戦
女子ジャイアント・スラローム第1戦 10/25(土) ZOELDEN(AUT)

M・エルトル逆転優勝
勝負を分けた急斜面入口の罠

 前述のとおり、女子のワールドカップは、昨年度のディフェンディング・チャンピオンのヤニツァ・コスタリッチがいないままに開幕した。最強のスター選手を欠いて、レースは寂しいものになるかと思われたが、勝負の興味は最後まで尽きなかった。1本目のトップ3を占めたマルティナ・エルトル、アニャ・パーソン、マリア・リエンダ・コントレラスの3人が、2本目も崩れることなく、すばらしい滑りを展開し、僅少差で勝利を奪い合ったからである。

 1本目のベストタイムをマークしたのは、スペインのエース、リエンダ・コントレラス。典型的なGSスペシャリストで、これまでに記録した16回の10位以内入賞は、すべてGSでのもの。ここ数年つねに第1シードにいるのだが、決定力に欠け、表彰台には1度も上ったことがなかった。ゲート際でのフォームの美しさではナンバーワン。絵になるレーサーのひとりである。

 続く2位には100分の4秒差でエルトルがつけ、さらに0秒34遅れて3位に昨シーズンのGSチャンピオン、アニャ・パーソンがつける。4位には昨シーズンのこのレースの勝者、ティナ・マッゼが続くが、タイム差は0秒97と大きく、この段階で、優勝争いは上位3人に絞られた。

 2本目の勝負を分けたのは、最初の急斜面入口の右ターンだった。緩斜面から急激に落ち込む、先の見通せない部分に深まわりターンがセット。スキー板の方向づけがむずかしく、エアターンぎみに飛び込んでくるために、女子選手のパワーでは、どうしてもラインが落とされてしまうのだ。1本目トップ3の中で、ここをもっとも破綻なく通過したのがエルトルで、対照的にほとんど止まりかけるほどラインがあふれてしまったのがリエンダ・コントレラスである。エルトルも失敗しかけてはいるのだが、慌てず騒がずラインを修正し、減速を最小限に食い止めた。結局、後半も無難にまとめたエルトルは、2本目のベストタイムこそパーソンに奪われたが、合計ではリエンダ・コントレラスを逆転して、開幕戦勝利を手に入れた。

「昨年のゾルデンでは、2本目に進むことさえできなかったのに、こうして優勝することができるなんて信じられない。これまでに何度もケガをして、そのたびに成績は上がったり下がったり。そんな私のキャリアの中でも、今日の勝利は格別の価値がある」 と語る。

 手が届きかけていた初優勝を逃し、3位に後退したリエンダ・コントレラスは、
「急斜面入口のミスで、優勝はむずかしくなったと思った。でも、まだ表彰台に立つ可能性は充分にあると信じ、後半はできる限り攻撃的に滑った。3位を守ることができて本当にうれしい」 と笑顔で語った。スペインチームは、財政難から、一時はかなり危機的な状況にあったが、この夏にスキー連盟の会長が交代し、組織を一新。資金面でも徐々に余裕ができてきたようで、女子チームは、この夏、チリとスイスで55日間の雪上練習を消化。例年以上の仕上がりで開幕戦に乗り込んできた。スペイン選手が表彰台に立つのは、92年にブランカ・フェルナンデス・オチョアがスラロームで優勝して以来の快挙である。

 2位となったアニャ・パーソンにとって、開幕戦は極度の緊張との戦いだったようだ。「昨シーズンの成績 (GS種目別優勝と世界選手権のGS優勝) で、周囲の期待がさらに高くなり、正直言って大きな負担になっている。でもそんな重圧のなかで2位に入れたことは、シーズンのスタートとして最高の出来だと思う」。そう語るパーソンは、今季は総合優勝の有力候補としてメディアに取り上げられることが多くなりそうだ。だが彼女自身の今季の目標はGSタイトルの防衛。高速系への進出も噂されるが、彼女自身は、それはトリノ五輪以後になるだろうと否定している。 

 地元オーストリアは惨敗。アレキサンドラ・マイスニッツァーが8位に入ったのが唯一の10位以内入賞。とりわけファンを嘆かせたのは昨シーズンの開幕戦の勝者 (3人が同タイム優勝) のひとり、ニコレ・ホスプ。1本目の前半で途中棄権し、早々とレースを終えることになった。

アルペンサイトTOP
www.skichannel.ne.jp
<<BACK    TOP▲