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2007/2008 AUDI FIS ALPINE SKI WORLD CUP
 
世界中を転戦するワールドカップの 熱い戦いを彩る各国のトップレーサーたち。 ここでは昨シーズンの男子総合ランキングの 上位に位置する選手たちを中心に紹介します。 彼らのプロフィールやレーサーとしての 背景を知ることで、ワールドカップを より楽しく観ることができるはず。

チェティル・アンドレ・オーモットやラッセ・チュースから、その血脈を着実に受け継いだノルウェーのオールラウンダー。ワールドカップデビューは02/03シーズン。初勝利は05/06シーズンのスーパーG第1戦(レイクルイーズ)。以来、4種目で第1シードに君臨するまでに成長を遂げた。昨シーズンは、オーレ世界選手権でダウンヒルとGSの金メダルを獲得。また、最終戦での逆転で総合優勝とGSの種目別タイトルを獲得。99年のチュース以来、久しぶりにノルウェーに大クリスタルトロフィーを持ち帰った。195cmの体躯を活かしたダイナミックな滑りと、全レース出場を可能にするタフさが大きな魅力。今後、しばらくは彼を中心としてワールドカップが展開していくことはまちがいないだろう。

若くから王国オーストリアのエースとしての重責を担い、今や王者の風格すら漂うようになってきた、現在のワールドカップを代表するトップレーサー。昨シーズンまでの通算29勝は先輩ヘルマン・マイヤーに次いで現役2位の数字。ここ数年は4種目すべてに出場するオールラウンダーへと成長し、毎シーズン総合タイトルの行方を左右する存在になっている。05/06シーズンには初の総合タイトルを獲得。その防衛に臨んだ昨シーズンだったが、わずかな差でアクセル・ルンド・スヴィンダルの前に屈した。GSとスラロームの安定した成績は証明済み。スーパーGやダウンヒルでスヴィンダルに僅差につけることができれば、大クリスタルトロフィーはふたたび彼の手に戻ってくるはずだ。

90年代後半からスイスチームを支えてきた頑強なタフガイ。力強い滑りを武器に、ダウンヒルからGSで活躍する準オールラウンダーだが、ここ数年は豊富な経験を活かして、GSよりも高速系種目で好成績を残してきた。ヘッドにマテリアルチェンジを果たして臨んだ昨シーズンは、序盤から好調を維持。とくにダウンヒルでは、クヴィットフェルで3年ぶりの勝利を挙げるなど、安定した成績をキープし、33歳にして初の種目別タイトルを獲得。最終戦の表彰式では、クリスタルトロフィーを手に、涙を流した。肉体を鍛え上げている反面、ケガに泣かされることも多く、幾度もの苦難と挫折を乗り越えた末のタイトル獲得だった。総合で自己最高位タイの3位に入ったこともみごとだ。

北米大陸からやってきたレーサーにもかかわらず、ヨーロッパでひときわ大きな声援を集める、ボーダレスのスーパースター。技術系種目でトップシーンに台頭したのちに、オールラウンダーに転向。全種目全レースに出場するという破天荒な戦いを続けながらも、04/05シーズンには初の総合優勝を達成。22年ぶりにアメリカに大クリスタルトロフィーを持ち帰った。昨シーズンはスーパーGの種目別タイトルを獲得するも、総合では4位に終わり、今シーズンのタイトル奪還にかける。自由奔放な振る舞いや発言が波紋を投げかけることもあるが、ファンサービスをいとわない明るい人柄は彼以外には持ち得ないもの。今シーズンはUSチームから離れ、プライベートでワールドカップを転戦するという。

01年サンアントン世界選手権スラロームの覇者が、今年2月のオーレ世界選手権でふたたび金メダルに輝いた。00年のキッツビューエルでゼッケン47番から優勝。ショートカービングスキーの申し子として衝撃的なデビューを飾り、トップスラローマーの地位を築くもソルトレイク五輪直前に肩を負傷。以来、長い迷走と浮沈を繰り返していたが、昨シーズンは世界選手権を含め7戦連続で表彰台に上がるなど、トップシーンに完全復帰。ガルミッシュ・パルテンキルヘンとクラニスカ・ゴラで2勝を挙げ、種目別ランキング2位でシーズンを終えた。不遇の時を過ごした悔しさと、そこで得た貴重な経験を武器に、今シーズンは初のスラローム種目別タイトルをねらう。

アルベルト・トンバをはじめ、多くの優秀なスペシャリストを生み出してきたイタリアから、久しぶりに登場したオールラウンダー。01/02シーズンのワールドカップデビュー以来、ダウンヒルとスーパーGで着実に成績を積み上げてきたが、05/06シーズンからは上位に定着。昨シーズンはボルミオのダウンヒルと、ヒンターシュトーダーのスーパーGで2位になるなど、初優勝も目前のところまできている。GSやコンバインドでもコンスタントに成績を残していることから、オールラウンダーとしての大成が期待される。昨シーズンの総合6位という結果を見ても、総合優勝をねらえる存在であることはまちがいないが、まずは初優勝が今シーズンの大きな目標になるだろう。

スイスとオーストリアに挟まれた人口わずか3万人の小国、リヒテンシュタインが生んだトップレーサー。ワールドカップデビューは95年。若い頃はGSのスペシャリストとして活躍したが、歳を重ねるごとに高速系中心にシフト。まもなく36歳となる大ベテランだが、成績はいまだに伸び続けている。ワールドカップ初勝利も02/03シーズンのスーパーG(ガルミッシュ・パルテンキルヘン)。05/06シーズンにはダウンヒルで初優勝。昨シーズンもレイクルイーズのダウンヒルで1勝を挙げている。総合ランキングでも自己最高位を更新する7位。高速系種目は経験が重要であることを、身をもって証明している選手と言えるだろう。

地元アデルボーデンでのスラローム第4戦、ゼッケン60番から1本目27位につけると2本目に猛アタック。荒れたレースも味方につけて、実に26人抜きの大逆転劇でワールドカップ初優勝を達成。第1シードの座を確保すると、その後も3度の3位を記録し、種目別6位となってトップスラローマーとしてのたしかな地位を築き上げた。もともと03年ジュニア世界選手権のスラローム・チャンピオン。低迷が続くスイスチームの起爆剤として期待されていたのだが、その才能が昨シーズン、一気に開花したわけだ。GSでの上位入賞や、コンバインドで2度の2位表彰台を経験していることからも、今後はオールラウンダーとしての動向にも注目が集まる。

オーストリアが総合タイトル獲得のために作ったオールラウンドチーム、WC4に早くから抜擢されたオーストリア期待の若手。04/05シーズンにはダウンヒルとスーパーGで数回表彰台にも上る活躍を見せてその期待に応えたが、05年11月、膝の前十字靱帯を負傷し、05/06シーズンを丸々棒に振ってしまった。だが、ワールドカップに舞い戻った昨シーズンは、スーパーG第1戦で2位に入るなど、ブランクを感じさせることなく才能を発揮。スーパーG種目別4位、ダウンヒル種目別9位、総合でも9位に入るみごとな復活を遂げて見せた。GSでもひと桁入賞の経験を持つなど、非凡な才能を見せており、今後は総合優勝争いにも絡んでくる可能性が高い、注目の選手だ。

技術系2種目でトップシードを守り続けるフィンランドのエース。99年、ヴェイル世界選手権のスラロームで金メダルに輝いて以来、長く停滞の時期を過ごしていたパランダーが、ふたたびブレイクしたのが02/03シーズン。このシーズンに4勝を挙げてスラローム種目別タイトルを獲得すると、GSでも真価を発揮し始め、毎シーズン、技術系2種目だけで総合ランキング上位に顔を出すほどの成績をコンスタントに残している。フィッシャーへのマテリアルチェンジを敢行した昨シーズンは、06年最終戦での膝のケガの影響もあり、序盤は苦しい戦いが続いたが、アルタバディアGSで優勝するなどの結果を残し、総合でも10位の位置をキープしている。

05/06シーズンの開幕直後から怒濤の快進撃を見せ、一躍スターダムにのし上がったアメリカの新星。その勢いのままにトリノ五輪でコンバインドの金メダルを獲得すると、GSでも初優勝。まさにアメリカンドリームを体現して見せたわけだが、さらなる飛躍が期待された昨シーズン、シーズン直前の右手人差し指のケガが響き、スタートダッシュに失敗すると、本来の調子を取り戻すことなくシーズンを終えてしまった。それでもGSとスラロームの2種目で第1シードに定着。若手随一のスーパースター候補生であることに変わりはない。高速系種目への取り組みにも意欲的で、今後の成長によっては総合チャンピオンの座もねらえるはずだ。自身のゴーグルブランド「シュレッド」を立ち上げている。

80年代に一世を風靡したカナダ高速系チーム“クレイジー・カナック”のDNAを継承したダウンヒラー。03年サンモリッツ世界選手権のダウンヒル6位、スーパーG6位で注目されるも、翌シーズンは左膝靱帯損傷でそのほとんどを棒に振ってしまった。だが、戦線に復帰してからはそのケガを微塵も感じさせないアタックを見せ、徐々にランキングもアップ。昨シーズン、ガルミッシュ・パルテンキルヘンDHで待望の初優勝を挙げ、トップダウンヒラーとしての地位を揺るぎないものにした。スーパーGでも好成績を挙げているが、その魅力はやはり限界まで攻め切るダウンヒルにある。エキサイティングな滑りと、甘いマスクで多くのファンから声援を集めている。

かつてのスイスのスーパースター、ピルミン・ツルブリッゲンの遠い親戚にあたるシルヴァンは、当然のように国民の大きな期待を背負ってワールドカップに登場すると、03年、地元サンモリッツで行なわれた世界選手権スラロームで銀メダルを獲得してその期待に応えた。その後はスラロームで好成績をキープする一方で、オールラウンダーに転身。高速系種目やコンバインドでコンスタントにポイントを稼いでいる。だが、なぜかGSでは一度も入賞すらできていない。めずらしいタイプのオールラウンダーと言える。最高位は04/05シーズンのセストリエール(スラローム)、昨シーズンのクヴィットフェル(コンバインド)で記録した2位。そろそろ表彰台の一番高い位置へ上りたいところだ。

ワールドカップデビューは96年。以来、徐々にではあるが順位を上げてきた、4種目で着実にポイントを挙げられるオールラウンダー。ダウンヒルからGSまでコンスタントに力を発揮し、スラロームでの入賞経験も持つ。だが一方で、優勝は02/03シーズンにヴァル・ガルディナで挙げたスーパーGの1勝のみ。昨シーズンはアルタバディアのGSで3位に上がったのがハイライト。どうしても、得意種目がはっきりとしない中途半端な印象はぬぐえない。長く低迷を続けてきたスイスチームを、目立たずも支えてきた存在だけに、このままキャリアを終えてしまってはもったいない。ようやく伸びてきた若手の活躍に奮起し、ひと花咲かせてほしいところだ。

昨シーズン、好調スウェーデンチームを象徴するかのように突如ワールドカップに登場した1985年生まれの新星。レヴィでのスラローム開幕戦で34番スタートから6位入賞を果たすと、その後も中位ゼッケンから上位入賞を繰り返し、一気にトップシードまで駆け上がった。そして迎えたキッツビューエルでの2連戦。伝統のコースを完全攻略し、並みいる強豪を退け2連勝を飾った。シーズン終盤は安定感に欠き、課題を残したが、弱冠21歳の痛快な快進撃は多くのファンの注目と声援を集めた。出身はインゲマル・ステンマルクやアニャ・パーソンを輩出した、スウェーデンの小さな村ターナビー。スーパースターとなる下地はすでに備えていると言えるのかもしれない。

04/05、05/06と2シーズン続けてダウンヒルの種目別タイトルを連覇したオーストリア高速系チームのエース。もともとは長身を活かしたスラロームを得意としていたが、徐々に高速系に転向。03年のサンモリッツ世界選手権のダウンヒルで第2シードから金メダルに輝き、ダウンヒラーとしての地位を確立した。スーパーGやコンバインドでも優勝の経験はあるが、全11勝のうち、8勝をダウンヒルで挙げている、純然たるダウンヒラーである。昨シーズンもダウンヒル戦線の最有力候補だったが、なぜか開幕から調子が上がらず。年末のボルミオでの2連戦で連勝を果たしたもののその後が続かず、種目別6位というやや不本意な成績でシーズンを終えてしまった。

長い低迷を経て、昨シーズン、みごとな復活劇を見せたイタリア技術系チームの中核選手。03/04シーズンにはシュラドミングのスラロームで2位に入るなど、第1シードまで上り詰めたが、その後、長い停滞に陥ってしまう。05/06シーズンには背中のケガに泣かされるも、昨シーズンは中盤から猛チャージ。遅いゼッケンから上位入賞を重ね、キッツビューエルのスラロームで3位表彰台に上ると、オーレ世界選手権スラロームでは、みごと銀メダルに輝いた。その後も、クラニスカ・ゴラ、レンツェルハイデで3位入賞を果たし、第1シードにも復帰。GSでも同様に第1シードに返り咲き、今シーズンはいよいよ悲願の初優勝に照準を絞る。

過去4度の総合優勝、ワールドカップ通算53勝、シーズン2000ポイントなど、あらゆる偉業を達成してきたかつての王者の輝きも、昨シーズンはくすぶったままだった。ヒンターシュトーダーのスーパーGで3位になったのが唯一の表彰台。総合ランキングでも19位と、全盛期を知るファンにとっては信じたくない成績に終わってしまった。この12月で34歳となるだけに身体的な衰えは避けられないだろうが、01年の選手生命を危ぶまれる交通事故から奇跡の復帰を遂げたような精神力の強さと、闘志の再燃に期待したいところだ。デビュー以来、アトミックひと筋でとおしてきたが、このオフにヘッドへの移籍を発表して、心機一転、今シーズンに臨む。

オールラウンド志向が主流となった現在でも、頑なに単一種目に力を注ぐGSスペシャリスト。しなやかな身のこなしを最大限に活かしたGSテクニックは、まちがいなく世界のトップレベルにある。スーパーGやダウンヒルへ挑戦する姿勢も見せているが、どちらかというとGSのためのトレーニングという意味合いが強いだろう。昨シーズンは、ビーバークリークで自身3度目の優勝を挙げたのをはじめ、計4回表彰台に上っているが、種目別ランキングはアクセル・ルンド・スヴィンダルにわずかにおよばず2シーズン連続の2位に終わり、またしても種目別タイトルには手が届かなかった。いまや貴重な存在となったスペシャリストの矜恃を、ぜひともタイトル獲得によって見せてほしい。

地元開催のバンクーバー五輪に向けた強化が順調なカナダチームのなかでも、ここ数年とくに著しい躍進を遂げている新鋭。05/06のGS第1戦で49番スタートから5位入賞を果たし、一躍注目を集めた。ダウンヒルやスーパーG、コンバインドでもひと桁台の入賞を記録しているが、とくにGSで力を発揮。今シーズンもヒンターシュトーダーとクラニスカ・ゴラで2位表彰台を記録しており、GSの第一シードにも定着。初優勝までにはそれほど時間もかからないだろう。また、06年のトリノ五輪GSでは、1本目トップに立つ快走を見せるも、2本目に失速し4位に終わり、わずかな差でメダルを逃す悔しさも味わった。その悔しさをバンクーバーで晴らすべく、さらなる奮闘が期待される。

今や王国オーストリアと肩を並べるほどの強大なチーム力を誇る、スウェーデン・スラロームチームの中心的存在。ワールドカップでのデビューは早く、02年のソルトレイク五輪でも7位入賞を果たすなど、早くから注目を集めていたものの、長い間浮沈を繰り返し、第2シード付近に留まっていたが、04/05シーズンからスラローマーとして本格化。翌シーズンには上位入賞を連発し、第1シードにようやく定着すると、地元オーレでのスラローム最終戦では悲願の初優勝を達成した。昨シーズンもアルタバディアで二度目の優勝を遂げるなど、種目別ランキングは4位。いよいよ種目別タイトルに向けた地盤をたしかなものにしたと言えるだろう。

05/06シーズンまでは下位入賞の記録しかなかったが、昨シーズンのレイクルイーズで行なわれたスーパーG第1戦でいきなりの優勝。この快挙は当地におけるカナダの選手としては初めての優勝という記録つき。さらに続く第2戦でも3位に入り、一躍フランソワ・ブルケやエリック・グェイとともに、躍進カナダチームを象徴する存在となった。シーズン中盤からはそこまでの勢いは見られなかったものの、スーパーG種目別3位はみごとと言えるだろう。ダウンヒルやGS、コンバインドでも好成績を残しており、GS第3戦ではアルタバディアの難コースを攻略して5位入賞。オールラウンダーとしての可能性も充分に感じさせているカナダ期待の若手だ。

けっして恵まれた環境が与えられているとは言えないスロヴェニアの高速系チームで、ひとりダウンヒルを中心に奮闘を続ける中堅選手。ワールドカップ参戦は、昨シーズンで6年目。目立った記録はコンバインドでのひと桁入賞くらいしかなかったが、昨シーズンは序盤からダウンヒル戦線で好調を維持。ボルミオの2連戦で4位と9位と、ひと桁入賞を記録すると、ガルミッシュ・パルテンキルヘンでの2連戦の初戦で待望の初優勝。続く2戦目でも2位に入り、トップダウンヒラーの仲間入りを果たした。長い不遇の時を過ごしただけに、喜びもひとしおだっただろう。ユーレ・コシールやミトヤ・クンツ後のスター誕生が待たれるスロヴェニアチームの起爆剤となれるか。

今年、引退を表明した妹ヤニツァとともに、クロアチア国民の期待を一身に集めるスーパースター。00/01シーズンのスラローム開幕戦で、ゼッケン64番から初優勝を飾ると、そのシーズンは3勝を挙げ、一躍トップスラローマーとして脚光を浴びた。その後、01/02シーズンのスラローム種目別タイトル、03年のサンモリッツ世界選手権スラローム金メダルなど、輝かしい栄光を残しているが、一方でたび重なる膝のケガに悩まされたり、ナチズム傾倒を報道されるなど、つねに薄幸のイメージもつきまとう。だが、知性とユーモアにあふれる受け答えや、温厚かつさわやかな人柄からファンも多い。フィッシャーにマテリアルを変更して臨む今シーズンは、スラロームの第1シード復活をめざす。

02/03シーズンのウェンゲンで65番スタートから2位に入り、一躍世界の檜舞台に飛び出した、日本が世界に誇るエース。2位表彰台はすでに3回経験。残すは一番高いところのみ。05/06シーズンは、トリノ五輪で途中棄権に終わる悔しさを味わったものの、種目別ランキング7位を記録。スキー板をブリザード、ブーツをテクニカに替えて臨んだ昨シーズンは、持ち味である過激なアタックが影を潜め、7位入賞が最高位、スラローム種目別ランキング23位と不本意な成績に終わってしまった。マテリアルとのマッチングが熟成するはずの今シーズンは、真価を問われるシーズンとなる。また、高速系のトレーニングにも積極的に取り組み、オールラウンダーへの転身にも意欲的だ。

ワールドカップには99/00シーズンのキッツビューエル6位入賞で華々しくデビュー。ソルトレイク五輪直後の、右膝靱帯の断裂という大ケガによる深く長い迷走から舞い戻り、トリノ五輪スラロームでメダル獲得の快挙まで限りなく迫ったことは記憶に新しい。トリノの悔しさを糧に、日本チーム悲願の初優勝に挑むはずだった昨シーズン、シーズン序盤の12月に左膝の靱帯を断裂。わずか2レースに出場しただけでシーズンを終えてしまった。だが、前回のケガの経験を活かし、ふたたびバンクーバー五輪をめざして復活を誓う。30歳になり、年齢的にはベテランの域に差しかかっているが、チームにとっても、幾度の苦難と挫折を乗り越え、人間的に大きく成長した頼れる存在と言える。

05/06シーズンはクラニスカ・ゴラのスラロームで7位入賞を果たし、その後のトリノ五輪でも7位となり、皆川とともにアルペン競技では50年ぶりとなるダブル入賞。佐々木、皆川に続く、あるいはそれを超える可能性を持った、新たなエース候補であることをしっかりと証明して見せた。満を持してさらなる飛躍をめざすはずだった昨シーズン、シーズンをとおして安定感のない滑りに終始してしまい、目前だった第1シードの座も、ふたたび遠のいてしまった。しかし、秘めたポテンシャルと、ときおり見せる目の覚めるような速さは、まちがいなく世界のトップレベルで通用するもの。今シーズンは、そのことをしっかりと数字で証明してもらいたい。


(2007年月刊スキージャーナル12月号より)
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